これは衝撃的だよ。新聞の折り込みチラシを、独自に配送しようとするものだ。案内書には、「新聞を購読していない人におすすめ」ということで、実際に申し込みが来た人の9割は新聞を購読していない人たちだと言うけど、新聞購読の衰退に拍車をかけることは間近いない。
橘:
第2のリクルート事件警戒か(笑)。しかし、タウンマーケットの売りのひとつである、テレビガイドだけど、某新聞社系が情報を販売しているらしいからな。
リクルートも、いろいろ考えてるんだろう。ある意味、今の新聞のキラーコンテンツは、折り込みチラシとラテ欄だから、それを、そっくりリクルートが持って
いってしまうというのだから驚異には違いないだろう。
小: キラーコンテンツがラテ欄とチラシっていうのが、ラガード層相手の商売ってとこ
ろですよね。それから、わたしは株式欄の意味がよくわからない。
だって、チャートだって見られないし、あんな小さい文字のなかから特定銘柄を探すのが大変。
そこまでして紙に印刷する理由は、未接続な人たちのためだと思うのですが、それも廃止されるのは時間の問題じゃないかな。
ラガード層橘: 新聞の否定的な面ばかりではなくて、もうすこし、新聞社の可能性みたいなものはないのかね。
小: シカゴに
トライシティニュースっていう、ネットにはいっさい情報を載せないで成長しているローカルペーパーがありますよ。あと、米国では新聞社を辞めた人たちがつくったベンチャーは当たるよね。
サロン・コムとか最近では
ポリティコとか。それも新聞社の可能性のひとつじゃない(笑)?
トライシティニュースサロン・コムポリティコ新聞こそオンデマンド出版に適している?橘:
全国紙というのは、どんどん意味なくなるな。僕は、今の新聞は「社説だけの新聞」「家庭欄だけの新聞」「スポーツ欄だけの新聞」「新聞小説だけの新聞」
「文芸欄だけの新聞」というように、分割いくべきだと思う。
できたら、それらをユニットにして、僕は社説と文芸だけを読みたい、とか選べる。究極のオンデマ
ンド出版は、新聞なんだと思う。中央で印刷して地方に配送するエネルギーを使うなら、データだけ各地域に配信して、販売店で印刷すれば良い。もちろん、それも最終的には、家庭で新聞を印刷するようになるんだけどね。記事を作るところだけが残る。
小: たしかに。いまの新聞を読む限り、ニュー
スは横並びです。社説は除外するとして、見出しや併置の仕方などでスタンスが変わる。
ニュースがコモデティ(日用品)化しているいま、新聞社の整理部って
アグリゲーターとしてとても重要になっている。その辺、割り切りがすごいのは米ビジネスウィークで、ニュースはAP通信の配信をそのまま載せて、自分たちの分析を交えたものを記事として掲載している。これは潔いかも。
新聞においてニュースの多くがOEMで成立している以上、パッケージにこだわらず、
差別化による訴求ポイントを徹底的に考え抜いたところが未来を見いだすかもしれない予感がしますね。
記者クラブ問題と新聞少年だった二人橘: 記者クラブの問題とか、既得権益で守られている今の構造を新聞社自身が崩さないと未来はないだろうね。CNBCやネットに新聞を殺される前に、自分自身で古い体制を殺すぐらいのこと
しないと、次の新聞は別な業界の人間がやるだろうな。
僕は学生の時に、毎日新聞社の「坊や」というアルバイトやってた。これは新聞社の中のなんでも雑用係なんだけど、記者がボールペン切れたぞ、というとボールペンを持っていき、校正室から校正ゲラを組み版の部屋に走って運んだり。
小: 組み版って活字の時代ですか?
橘: そうそう、鉛の活字を職人さんが組むんだよ。下版ギリギリに赤字みつけると、全速力でダッシュ!
小: 橘川さんが「坊や」って想像できないな(笑)。さぞかし、可愛い坊やだったんでしょうね。ちなみにわたしは新聞配達を8年間やっておりましたよ。
橘:
コバヘンが新聞少年って、もっと信じられないぞ、とても怪しい新聞少年だったんだろう(笑)。
竹橋の毎日新聞社は、ビルの形状から戦艦大和と言われていた
が、不沈戦艦ではなかったようだな。あそこの地下には輪転機が回っていて、地下5階には共同浴場があって12版が校了になると深夜入るんだ。
まだ印刷工員
さんたちは仕事してるから、ゆったりと入れたね。通称・
毎日温泉(笑)。僕らはカプセルベッドみたいなところで寝ながら大学に行ってた。国会がはじまると、国会の記者クラブにつめて、国会の会議場で記者が書いた記事を駐車場で待機しているバイク部隊に渡しに行くんだ。
西山太吉さんが政治部のデスクにいた頃だ。西山さんの逮捕は衝撃的だったが、話の本質が日米の密約問題から、取材時の不倫問題に置き換えられて、マスコミが一斉砲撃したことが更に衝撃だっ
た。マスコミは国家のスキャンダルより個人のスキャンダルの方が価値があるんだと思ったな。
西山太吉小: あれはひどい話ですよね。そういうことがあるから、記者クラブ制度は信頼できない。横並びの日本では、互助会組織はひとつの知恵かもれいないけれど、一歩間違うと西山事件のようなかたちで牙を剝きますよ。
橘:
最近も、ますますムラ化してるし、人間が小さくなってるような気がする。テレビで新聞記者の取材風景を見ることが多くなったけど、なんともトンチンカンだったり、やたらと正義を振りかざしているようにみえて威張りちらしているだけの記者が出てくると、いやになるね。
品がない。まずは新聞記者の再教育をした方が良いんじゃないかな。今後ますます新聞の商品は新聞記者の原稿の質になるわけだから。
小: それは出版社のお偉いさんと話をしていても出てくる話です。一流企業になった途端、生活の安定を求めて入社する人が出てくるわけですよ。
だから、かつての日産自動車みたいに車に興味ない人ばかりになる。つまり、ブンヤとして腕を奮いたい人はどこへ行ったかというと、元日経新聞の阿部さんみたいに外に出てしまうのではないでしょうか?
FACTA 阿部重夫編集長のブログ橘:
それは言えてるね。昔、日本列島改造論で日本中に土地成金が生まれたとき、ある人が地方に行ったら、成金さんが「メディアっていうのは儲かるんだってな、どうすればいいんだ」と聞かれたとかいう伝説がある。
出版社も拡大すると銀行さんが経営陣に入りこんで、数値だけが議論のテーマになる編集会議になってしまった。編集会議って、そんなんじゃないだろう、と思うのだが。
小: たしかに。不動産事業やらなにやら手がけて肥大化してしまったいま、「そんなに給料もらえなくても、あなたはブンヤをやるのか否か」ということを問われているのではないでしょうか。
エース級のジャーナリストほどハードワークだと思うので、あまりに給与安かったらやってられないというのはあるでしょう。でも、そんなエース級の方々と、働かないでも給与をたくさんもっている人との社内格差があるとしたら優秀な人は腐ってしまいます。実は新聞社の敵というのはネットじゃなくて、
獅子身中の虫かもしれませんよ。
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