2009.06.10 09:00:00

Vol.3 ウェブ四方山レビュー(アマゾン前夜編)

TechCrunch Japanの翻訳者・滑川海彦氏を迎えた鼎談の最終回。今回は...

TechCrunch Japanの翻訳者・滑川海彦氏を迎えた鼎談の最終回。今回はついにアマゾンの話に突入。

橘: bk1はTRC(図書館流通センター)の会社だから、DNP(大日本印刷)グループになったのか。最初は、日経BPの連中が乗り込んだし、ネットで面白い書評活動している人たちが集まったんだがな。
滑: bk1 てのはもともとアマゾンの「黒船」対策だったらしいけれどね。なぜアマゾンに勝てなかったのかという「敗北の研究」の題材にはいいかも。

ジェフ・ベゾスがアマゾンをスタートさせたのがが1994年。ビジネスとして軌道に乗せるのに7年近くかかっている。その間ドットコムバブルの破裂もあって、ベンチャーキャピタルの投資家をよく最後まで我慢させたというので、ベゾスの説得力は伝説的だね。

その間に蓄積されたノウハウってのは書評のクラウド化から物流まですごいわけだ。ビジョンとカリスマの点でベゾスはアップルを復活させたジョブズと双璧だと言われてるね。ビジョン、ノウハウ、資金力、いわば心技体、一致して向こうが上だったということだな。

橘: bk1がスタートした時に、最初に掲載された書評は、僕が書いた「アマゾン・ドットコム」だった(笑)。そういえば、ドイツのベルテルスマンも日本で「bol」というサイトをやって失敗したな。ベルテルスマンは世界出版市場では勝ち組の一つだろうね。最近、Wikipediaの辞書を発行するといって、騒ぎになってるな。

CNET Japan記事

滑:ベルテルスマンもパクリ商売に堕ちたか。もちろん合法なんだけどね。

小: bolのBってベルテルスマンの略でしたね。AOLへの憧憬が見え隠れした名前ですが、ベルテルスマンがかつてbolでやりたかったことはブッククラブとの接続です。わたしは、これはいまもアリだと思っています。日本でもこれからはコミュニティサイトをつくって、それをブッククラブにすればいい。取次が怒るでしょうけれど、まあ、出版業界外のベンチャーがやればいい(笑)。

さらに言えば、実はベルテルスマンが制覇できていない市場が、消費大国ニッポンです。bolの件も含めて雪辱を果たしたいところでしょう。

米の老舗出版社ランダムハウスはベルテルスマン・グループですが、2004年くらいに日本の版元にアプローチをかけてきましたよね。ランダムハウス講談社の設立直前です。どこで間違えたのか、わたしのところにも来ました(笑)。

講談社の意図はどうなのか知りませんが、ベル側の本当の狙いは日本のコンテンツをハブとした中国市場への進出じゃありませんか?

ランダムハウス講談社

橘: ああ、ランダムハウスがコバヘンのところに行ったのは、僕が推薦したからだ(爆笑)。当時、日本で外資の出版社と組んで仕事出来る奴で、組織の外にいるのはコバヘンぐらいしかいなかったからな。ある組織を介して、コバヘンにあたれ、とアドバイスしたのさ。現在のランダムハウス講談社は、仲良しが多いので、余計なことは言いません(笑)

小: 橘川さんの紹介だったの!?...つーか、どんだけ黒幕なんだよ(笑)!

橘: ところで、慶応義塾大学が資産運用の失敗で500億の評価損を出したけど、たぶんアメリカのファンドと組んで運用していたんだろうね。Googleのブック検索も日本では慶応大学の図書館と組んで国内の蔵書をデータ化したんだと思うが、いつから慶応はアメリカの出先機関になったんだい。

まぁ、これ以上、話を広げない方がよいと思うので(笑)、最後にGoogleのブック検索が実現すると、面白いことが起きるぞ、という予言を一発。

書籍の内容がインターネットと同じように公開データ化するわけだ。そうすると、「Googleのブック検索のSPYSEE」みたいなものができる。文章の関係性をトレースしていくわけだ。そうすると、この本が、どこの本から引用されたかが、すぐわかる。

最近の本なんて、他人の本やインターネット情報のコピペみたいなものが多いから、全部バレるぜ。大学の先生の論文なんかも、やばいよ。そういう意味で、本の評価に影響与えるとしたら、Googleのブック検索も意味あるかと思うな。

滑: Googleにはウェブページの重複情報の発見と除去専門のデータセンターがあるそうだ。それをブック検索に応用されたらまずいことになる先生がたくさんいそうだな。でもヨコのものをタテに翻訳しちゃったらさすがのGoogleでもわからないだろうね、当分は。

橘: 昔、ゴールデン街で飲んでたら、隣の酔っぱらいが「『立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花』という言葉は僕が作ったんだ」、と言ってた(一同爆笑)。

本当かどうかわからないが、そういう言葉を誰が最初に言ったのか、膨大な書籍をクルーズしてみるとわかるかも知れない。ついでに雑誌記事もデータ化して欲しいな。

舎弟の高橋信之くんは「『コスプレ』という言葉は僕が作った」と言っている(笑)。最初辞典、みたいなものがありかも。「参加型メディア」という言葉は、僕が最初に言ったんだぞ(笑)

小: ITバブルのとき、「光通信」が出資した企業を「光モノ」と最初にメディアで書いたのはわたしですよ(笑)。夕刊紙でそう語ったらVCが使いはじめ、そのうち皆が使って驚いた。...っていうか、なんだか、オヤジの自慢話大会みたいになってきましたね(笑)。

橘: ああ、どうも思い出話に盛り上がるのがオヤジの可愛いところだ。なんか渋松対談みたいだな(笑)

渋松対談
2009.06.10 09:00:00 | Words by: Yukio Kitsukawa, Hiroto Kobayashi, Umihiko Namekawa

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Reviewer メディア問題

橘川 幸夫  Yukio Kitsukawa

橘川 幸夫  Yukio Kitsukawa

72年、渋谷陽一と雑誌「ロッキングオン」創刊。全面投稿雑誌「ポンプ」ほか、数々のメディアを創刊。 CGMの草分けでもあり、いまも現役。現在、オンデマンド出版社「オンブック」社長、株式会社デジタルメディア研究所の所長を務める。仔細はこちら。


小林 弘人  Hiroto Kobayashi

小林 弘人  Hiroto Kobayashi

94年、雑誌「ワイアード」創刊。雑誌「サイゾー」からブログメディアの「ギズモード・ジャパン」まで数多くのメディアを創刊。眞鍋かをりのブログ出版ほか、IT業界の仕掛人として知られる。ウェブメディアの草分けでもあり、いまも現役。現在、株式会社インフォバーン代表。近著に『新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に』。仔細はこちら。