ICタグで書籍管理をしたり貸し出し管理をしたりするのは、割とイメージがしやすい。しかし、ジュンク堂を傘下にしたのは謎だ。主婦の友に至っては謎が深まるばかり。そしてブックオフだ。
ブックオフについては、音羽と神田の出版社をまきこんでいるので、ICタグによって万引き本がブックオフに流れるのを止めるという目的があるのならわかる。
小:万引きは書店にとって死活問題ですしねえ。ただ、それが目的の買収というのは費用対効果としては低い気がします。
橘:そう、この問題はコスト負担をどうするのか回答が出ていない問題なので、一印刷会社がどうこうできる問題ではないだろう。
小:「版元から書店まで」という流れは、高橋がなりさんの「国立ファーム」のような産地直送・直売モデルにしたいからでしょうかね。
橘:主婦友を傘下にしたときに、「書店での読者ニーズをフィードバックして新たな商品を開発する」みたいな発言がDNP筋から出ていたが、ユニクロではあるまいし、そんな単純な業界ではないことは出版業界の人間なら誰でもわかるはずだ。なにか業界以外のところで描かれている絵があるような気がしてならない。
小:小利口なビジネスマンなら、考えつきそうですけどね。現場に理解があり、なおかつ経営サイドに立てるスーパー・マネージャーがいない限り、シナジーが薄いですよ。
橘:POS分析で本が作れるわけがない。宝島のように営業が取次の窓口で必死に売れてる企画を聞き出して編集部にフィードバックするような体制があればともかく、そんな必死さ、既存の出版社にあるとは思えないな。
小:今回のブックオフ×書店×出版社といった連合からすると、バーゲンブックと新刊本を一緒に販売するように、一般書店にブックオフがドッキングするといった可能性を考えてしまいますよ。
橘:ブックオフが既存出版業界とつながることは歓迎だ。ただし、これは大手出版社が在庫調整をするためではなくて、著者への印税還元のシステムがなければならない。
現状のまま、大手出版社の返本在庫がブックオフに流れても、確かに著者への印税は印刷部数に応じて支払われているから問題ないが、市販で売られたものがリサイクルでブックオフで売られる時の著者や出版社へのバックはない。
これを可能にするのには書籍ICタグの普及しかないのだが、これは相当時間のかかる作業であり、今、DNPと大手出版社がブックオフを経営しても、何の解決策も見いだせないだろう。むしろ、講談社・小学館グループは、自分たちが株主になったブックオフのビジネスについて、著者に対して、どう説明するのだろうか。
小:たしかに、これまでアンチ・ブックオフキャンペーンを張っていたくらいですからね。すぐに還元したらいいのに。というか、ブックオフ・ユーザーとして稀少本を売ってもプレミアムがつかないっていうのはなんとかならないでしょうかね?(笑)
橘:還元したらブックオフの利益を圧縮することになるから、株主としては矛盾するな。しかし、君もブックオフ・ユーザーか。実は僕も(笑)。料理本とか実用本はブックオフだな。高名な著者のサイン本は古書店なら価値を認めてくれるが、ブックオフだと「汚れ」として扱われるからな。
(Vol. 2 に続く)
祝!