2009.05.28 10:59:27

Vol. 2 通信と放送の融合とか (1)

橘: こばへんはテレビ見るの?小: いや、時たまブツブツ文句いいながらニュースを...

橘: こばへんはテレビ見るの?

小: いや、時たまブツブツ文句いいながらニュースを観るくらい。特に『報道ステーション』の古舘キャスターには突っ込みまくりですね。殺人からドラッグまでなんでもかんでも格差社会を放置する政治が悪い、というあの論理展開は漫画のなかに出てくるステレオタイプの左翼だ(笑)。あとはFOXしか観ていません。いいね、アメリカン・アイドル。

アメリカン・アイドル

橘: おお、スーザンにやられたサイモン・コーウェルが出る番組ね。スター誕生は世界のキラーコンテンツだな。

小: スーザンはYouTubeで世界的なブレイクを果たしましたね。

アメリカン・アイドルのオリジナル番組(英国)に登場したスーザン・ボイル

橘: ところで、ドコモが「BeeTV」をはじめたけど、どうですかね。新しいメディアが一番やってはいけないのは、古いメディアのソフトをコピペすることだと思うんだけど、そのまんまじゃないかな。

BeeTV

小: あぁ、中吊り広告で見たけれど危険な香が漂っているような...(笑)。新技術が出てきて、散見されるのはシャベルウェアです。

どういう意味かといえば、A地点からB地点までの土をシャベルで運んだだけのコンテンツを意味します。慣れないコンテンツ・ビジネスに手を出すとき、高学歴な人が犯しがちなミスですね。「有名なこれ」と「人気のあるそれ」をもってきたら「皆Win-Winだ」とか、よく聞かされます...なるかよ(笑)!

橘: ならん、ならん! どんなツールを使おうが、オリジナルなものを作る気概のない人間にメディアを任せたくないね。

BSは割と良い番組が多くて、見てしまうことがあるな。同じような通販番組が多すぎて、最初は見ていたが、いいかげん飽きた。「イエローがもうすぐ売り切れになります」とか手口がワンパターン(笑)。マニュアル通りにやらないで、もうすこしオリジナルな啖呵売を開発してもらいたいものだ。

小: その意味では、的屋(以下、テキ屋)の復権ですね。そういえば、橘川さん、「テキ屋ドットコム」を立ち上げるとか言ってなかった?

橘: よく覚えてるな(笑)。10年ほど前に考えてたな。CATVとか制作予算なくて困っていたので、「テキヤチャンネル」というのを提案したことがある。

自分の気にいった商品を自分で宣伝する番組を制作して放送局に投稿する。その投稿で番組を作って、別途に受注センターを作っておいて、売れた商品については、投稿者にアフィリエイトがつく。これを、売れないお笑い芸人を組織して投稿させようとした。

小: それはいまでも通用しますね。

橘: アフィリエイトが芸人のギャラになるという考えだからね。ポイントは、CGMであるということだが、「自分の好きなものを宣伝」するということの意味が大きい。

今のCMは、制作者が嫌いな商品でも、売り方のノウハウだけで広告作品を作ってしまう。そういうのではない、広告作品というのを作りたかったんだ。この発想は、グーグルなんかがアメリカで始めたと聞いたな。

小: ネットで検索して購買するときって、実は背中を押してほしかったりするところもありますね。およそターゲットとは成り得ない人の冷徹な批評よりも熱烈なユーザーの一言が引き金を引きます。


テレビ通販と消費ニヒリズム


橘: テレビを使った通販で成功したのは、「ジャパネットたかた」が有名だけど、あそこの売上げは実はテレビ通販ではなくて、テレビ通販で購入した顧客にカタログ送って、そのリピーターの客がメインだということを聞いたことがある。

テレビは瞬間的な衝動買いの力はあるけど、持続的な営業ツールにはならないんだ。テレビの性格をよく表していると思う。衝動買いするような人は、通販の顧客としては最高なんだろう。「ジャパネットたかた」は、顧客名簿集めとしてテレビを活用してるわけだ。

小: なるほど。「欲しい!」と思って、すぐに行動に移すには映像は遷移が長すぎ。その点、ネットの通販やオークションはヤバいなあ。すぐクリックできるもの。

これからワンセグや地デジでモノが売れるようになると、「通販中毒者」が社会問題になりそうですよ。

橘: 通販の客って、欲しいものを探してる人たちだからな。

これは逆に言うと、もう欲しい商品ってないんだよ。80年代の『日経トレンディ』で僕は「消費ニヒリズム」という言葉を使ったが、商品飽和時代の中では、欲しいものを探すこと自体がビジネスになる。ドン・キホーテとかヤフオクとか100円ショップとか、実は欲しいものを買いに行く場所ではなくて、欲しいものを探しに行く場所なんだな。

小: ああ、たしかに。これまで物欲喚起は雑誌あたりが担ってきたけれど、それもネットやリアル店舗に遷移していますね。

たとえば、リテール(小売り)は商品がメーカーから届くのを口を開けて待っているようだとジリ貧の時代ですね。リアル店舗は物欲喚起力を自ら創造するか、メーカーに「売れるから、これをつくれ」という、単に意見じゃなくて仕様書まで仕上げて渡してあげるとビジネスになるかも。

橘: 一方で放送と通信の融合(笑)という問題があって、これは、テレビの通販番組で欲しいものが見つかると、ネット使って安い商品を探し出す、ということだ。これが融合なのね。

小: そうですね。すでにテレビ観ながらPCや携帯で検索してる「ながら検索」族が多い。実は検索エンジンのコンサルを頼まれたとき、検索ワードの資料を見せてもらったら、突然盛り上がりを見せるワードがあり、その多くはテレビ番組の放映に連動しているわけですよ。

これが垣根なく遷移すればNGNになるけれど、その前に誰がそのシームレスなインフラ覇権を制覇するか、ですね。次の覇王はシームレスにこのあたりを繋げるサービス・プロバイダーでしょうか。放送局そのものではありません。じゃあ、次回は通信と放送の融合について話しましょうよ。

2009.05.28 10:59:27 | Words by: Yukio Kitsukawa, Hiroto Kobayashi

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Reviewer メディア問題

橘川 幸夫  Yukio Kitsukawa

橘川 幸夫  Yukio Kitsukawa

72年、渋谷陽一と雑誌「ロッキングオン」創刊。全面投稿雑誌「ポンプ」ほか、数々のメディアを創刊。 CGMの草分けでもあり、いまも現役。現在、オンデマンド出版社「オンブック」社長、株式会社デジタルメディア研究所の所長を務める。仔細はこちら。


小林 弘人  Hiroto Kobayashi

小林 弘人  Hiroto Kobayashi

94年、雑誌「ワイアード」創刊。雑誌「サイゾー」からブログメディアの「ギズモード・ジャパン」まで数多くのメディアを創刊。眞鍋かをりのブログ出版ほか、IT業界の仕掛人として知られる。ウェブメディアの草分けでもあり、いまも現役。現在、株式会社インフォバーン代表。近著に『新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に』。仔細はこちら。